「童謡・唱歌の世界」のMIDIの曲を使用させて頂きました。


東北地方の風景( 南部の秋 と北部の春)

 2014年の11月には東北地方の岩手県の平泉から南へ下り、宮城・山形・福島の3県を、友人の夫妻と共にレンタカーを利用して東北地方の秋の紅葉の景色や文化財などを見て回りました。その時見た風景画を掲載いたします。
なお、2010年の4月に、東北地方北部の弘前と角館へ桜の花を見に行きましたが、残念ながら開花が遅れて、満開の桜は見られませんでした。その時に見た風景も一緒に掲載しました。



一ノ関・平泉(岩手県)

 2014年の秋の旅は、まず世界文化遺産がある平泉の藤原氏の栄華の遺跡を見るために、一ノ関でレンタカーを借りて付近の観光地を巡りました。平泉の中尊寺、毛越寺庭園、達谷窟を見て厳美渓温泉に1泊、翌日は厳美渓の渓谷を見てから猊鼻渓へ行き、船下りを楽しみました。ちょうど紅葉が見頃な時期だったので、紅葉を背景とする景観を各地で十分に堪能することができました。



平泉・中尊寺(新覆堂)

 岩手県南部の平泉にある世界文化遺産「中尊寺」の金色堂(新覆堂の中にある)付近の秋の風景です。中尊寺は天台宗東北大本山で、12世紀初めに奥州藤原氏の初代清衡公が造営した寺院です。藤原氏4代の主の遺体を納置した金色堂を初め多くの諸堂が建ち並び、三千点余の国宝・重要文化財を伝える平安仏教美術の宝庫です。



岩手県・平泉の中尊寺(立体表現図)

 紅葉の真っ盛りだった平泉の中尊寺・金色堂付近の風景を、遊び心を発揮して切り絵を用いて立体的に表現してみました。私たちの住む多摩市永山で、2015年12月6日~10日に開催された「第2回 アートであそぶ展」に出品して好評でしたので、今年の5月13~18日に都内の大崎駅前のО美術館で開催される「第34回 八雲展」にも出品する予定です。



平泉・毛越(もうつう)寺庭園

 中尊寺の近くにある世界文化遺産で、特別史跡・特別名勝になっている「毛越寺庭園」です。平安時代には広大な境内に七堂伽藍が建ち並び、その前庭には大泉が池を中心とする浄土庭園が配されていましたが、現在は基壇や礎石が残る遺構として保存されています。私達が訪れた際は、池に紅葉が映えた美しい秋の風景が見られました。



一ノ関・厳美渓

 一ノ関市内を流れる磐井川の渓谷「厳美渓」です。国の名勝・天然記念物に指定され、エメラルド色の流れが石英安山岩質凝灰岩の巨岩を侵食して出来た 長さ 2km にわたる渓谷で、厳美渓温泉などの一ノ関温泉郷が川沿いに点在しています。



東山町・猊鼻渓(げいびけい)

 岩手県東山町にある「猊鼻渓」は日本百景の一つで、北上川の支流の砂鉄川が石灰岩の岩山を侵食して形成された約 2 kmにわたる渓谷です。両岸は高さ100mの絶壁がそびえ立ち、その渓谷美は国の名勝に指定されています。私達は女船頭さんが1本の竿で操る小船に乗り、船頭さんの唄う「猊鼻追分」を聞きながら船下りを楽しみました。



秋保温泉(宮城県)~米沢(山形県)

 一ノ関から仙台まで新幹線で戻り、改めてレンタカーを借りて仙台市内を走り秋保温泉に1泊、蔵王のお釜を見て山形へ行く予定でしたが、あいにく当日から蔵王スカイラインが降雪のため閉鎖されたので、秋保大滝を経由して関山峠から山形県に入りました。山形県では山寺(立石寺)に立ち寄り、上山温泉で1泊、米沢市内を観光したのち、西吾妻スカイバレーを経由して裏磐梯高原へ向かいました。



仙台市・秋保(あきう)大滝

 仙台市の奥座敷「秋保(あきう)温泉郷」を流れる名取川の上流方向へ、二口街道を利用して車で走ると、日本三大瀑布の一つに数えられる幅 6m,落差 55m の迫力のある「秋保大滝」が見られます。不動尊の奥にある滝見台で展望したり、不動滝橋の袂から遊歩道を歩いて滝壺の傍まで行くこともできます。



山形県東根市・関山の大滝

 仙台市の作並温泉から関山街道(国道48号線)を山形県へと走り、関山峠を越えて東根市に入ると街道沿いの乱川に関山の大滝が見られます。川に架かった吊り橋の上から、紅葉の落ち葉が降り積もった大きな岩の上を、滝の水が幾筋にも流れ落ちていました。



山寺・立石寺

 関山街道からフルーツラインや天童温泉を通って山寺へ行きました。山寺の立石寺は芭蕉の「蝉の声」の俳句で知られていますが、境内にある諸堂は奥の院のある山上まで、1,000段以上もある石段を登って行かなくてはならないので、われわれは根本中堂から登山口に当たる山門前を通って方丈まで、石段を登らないで山の下の境内を歩きました。ちょうど色とりどりの紅葉の真っ盛りで、素晴らしい秋の景観を下から眺めることができました。



上山温泉旅館「古窯(こよう)」

 山形県の上山市は蔵王山頂(お釜)の西側に位置し、蔵王の山並みが展望できます。上山市内の各所に温泉が湧いていまが、私達は葉山地区の「日本の宿・古窯」という旅館に宿泊しました。ここには1,300年前の奈良朝時代に祝部(いわいべ)土器を焼いていた窯跡が発見され、地下に発掘したままで保存されています。著名人の描いた楽焼の書皿や絵皿が、館内の各所に展示されています。



山形県・上山(かみのやま)城

 上山城は上山市の町の中心部にある城で、天文4年(1535年)に武永義忠が築いたと伝えられ、別名「月岡城」と呼ばれ、戦国時代には最上氏の最南端の城塞でした。現在の城は昭和57年(1982年)に290年ぶりに再建されたもので、郷土資料館として利用されています。



米沢・興譲教会

 今回の旅行中に立ち寄った山形県米沢市にある単立キリスト教会の「米沢興譲教会」です。カウンセラーの育成を行っておられる田中信生 主任牧師が牧会をされている教会で、全てが最善として与えられたいることを信じ、ありのままの姿で生きる(一元に生きる)というスローガンを掲げて伝道をしている教会です。



米沢市・上杉家廟所

 米沢市は上杉家の城下町として知られていますが、上杉家廟所は市内の西方にあって、杉の巨木が立ち並ぶ森の中にある米沢藩の歴代上杉藩主が埋葬されている墓所です。初代藩主 謙信公の廟屋を中央に、12代藩主 斉定公まで、建築様式の異なった廟屋が左右に並び、多くの石灯籠に囲まれて配置されています。現在は大名家墓所として国の史跡に指定されています。



磐梯~福島(福島県)

 裏磐梯の湖沼地帯は標高が高いため紅葉の時期がすでに過ぎており、落葉樹の木々もすっかり落葉して初冬の景色でした。吾妻デコ平高原と磐梯熱海温泉でそれぞれ1泊しましたが、会津若松や喜多方、福島などの市街地は紅葉の最盛期で、雨にも降られず秋の風景を見て帰ることができました。



磐梯高原・五色沼の「るり沼」の風景

 磐梯高原には桧原湖や小野川湖など、明治21年(1888年)の磐梯山の噴火によって形成されたカルデラ地形と堰止湖が無数に存在しています。「五色沼自然探勝路」も裏磐梯トレッキングの中心として、毘沙門湖と柳沼の間を結ぶ森林の中の遊歩道で、大小いろいろな湖沼や湖水の色が楽しめるトレッキング・ルートとして、多くの人が訪れています。るり沼は沼越しに磐梯山が望めるビューポイントで、日没間際の湖畔風景です。



裏磐梯・ホテルグランデコ

 裏磐梯の宿泊地は小野川湖の東北部、西吾妻連峰の山々の懐に位置する「グランデコ・リゾート」のホテルでした。冬はスキー・リゾートとなっており、ロープウエイやスキーリフトなどが完備されていますが、秋の紅葉の時期も素晴らしい景観だそうです。私達が行った時は裏磐梯高原は初冬期の風景で、ホテルの周辺はカラマツの黄葉に包まれていました。



会津・鶴ヶ城天守閣

 「会津鶴ヶ城」は初め 至徳元年(1384年)に若松城が創建され、文禄2年(1593年)には会津領主の蒲生氏郷が7層の天守閣を造って鶴ヶ城と命名しました。その後 加藤義明が5層の天守閣に改装、幕末の戊辰戦争では、幕府方の東北最後の拠点として倒幕軍の砲弾にさらされて城が大いに傷つきました。1874年に取り壊されましたが、昭和40年(1965年)に天守閣が再建されました。NHKの大河ドラマ「八重の桜」の新島(旧姓 山本)八重が、若き日に活躍した場所として有名です。


喜多方・大和川酒蔵所

 喜多方は蔵の多い町として知られ、「喜多方 蔵の里」を初め、街中の各所で蔵文化の保存といろいろな蔵が見られます。寛政2年(1790年)創業の大和川酒蔵所も三つの時代の蔵が残る酒造店で、北方風土館として酒蔵の一部が資料館として公開されています。


磐梯吾妻スカイラインの浄土平

 裏磐梯や猪苗代湖から福島市へ向かう途中、土湯温泉と高湯温泉を結ぶドライブルートの磐梯吾妻スカイラインは、噴煙を上げる一切経山(1949m)と吾妻小富士(1707m)の間にある浄土平を通る観光道路です。浄土平のレストハウスからは吾妻小富士へ登って火口を一周し、吾妻連峯と荒涼とした火山風景が眺められます。



弘前市(青森県)

 青森県の弘前(ひろさき)は津軽藩の城下町で、江戸時代からある武家屋敷の街が残っており、また明治・大正時代に建てられたレトロな西洋館が市内に点在しています。弘前城天守閣が建つ弘前公園は、4月下旬から5月初旬まで「弘前さくら祭り」が行われ、開花期に行けばソメイヨシノやシダレザクラが咲き揃って春爛漫の花の風景が見られます。私たちは滞在時間が短かったので、城のある弘前公園、3か所のキリスト教会礼拝堂、仲町武家屋敷街、および津軽藩ねぷた村を見て来ました。



弘前城天守閣とシダレザクラ

 弘前市の街の中心にある弘前城は、江戸時代に再建された3層の天守閣(本丸)と三つの隅櫓が城址の弘前公園内に点在しており、公園の西側には西濠があって、その両岸に沿って桜並木が連らなり、花見の名所となっています。この絵は、天守と二の丸をつなぐ下乗橋上で、桜と天守を見上げた構図で描いたものです。



カトリック弘前教会

 弘前の大工の棟梁の家に生まれた5代目堀江佐吉は、青森銀行や太宰治の生家 斜陽館など明治を代表する和洋折衷の建物を多く建造した建築家ですが、この教会は1910年(明治43年)に、オージェ神父の設計によって佐吉の弟 横山常吉が建造した、ゴシック形式の木造モルタル造りのカトリック教会です。岩木山やリンゴなどがデザインされたステンドグラスや、教会の屋根に建つ尖塔が美しい教会です。



弘前教会(日本基督教団)

 弘前公園に近い元寺町にあり、1906年(明治39年)に佐吉の四男 齋藤伊三郎がパリのノートルダム大聖堂をモデルにして建造した、二つの塔が左右対称に立ち並ぶ、ゴシック建築のプロテスタント系の教会です。



弘前昇天教会(日本聖公会)

 弘南鉄道の弘前中央駅の傍にあり、青森ヒバの木材と煉瓦造りの、高い鐘楼がそびえる赤煉瓦の美しい礼拝堂で、大正10年(1921年)に建造された英国国教会系の教会です。



津軽藩ねぷた村

 毎年、8月上旬に行われる「弘前ねぷた祭り」には、中国の英雄などの武者絵や美人画を描いた「火扇」と呼ばれる約60台の扇型をした大型の灯籠(弘前ねぷた)が街を練り歩きますが、「津軽藩ねぷた村」はその弘前ねぷたが展示されているほか、津軽の民工芸品の製作・実演や津軽三味線の生演奏などが楽しめる観光施設です。その中庭にある小さな庭園(楊亀園)を描いたものです。



仙北市角館町(秋田県)

 「みちのくの小京都」と言われる秋田県の角館(かくのだて)は、元和6年(1620年)に秋田藩支藩の芦名義勝によって造られた城下町で、黒板塀の内町武家屋敷通りのシダレザクラや、絵木内(ひのきない)川堤の桜並木(国の名称指定)を見に来た観光客で賑わっていました。



武家屋敷とシダレザクラ

 青森県から秋田内陸線で南下すると、秋田新幹線が走るJR角館駅に着きます。駅から徒歩で街の中心部に向かいます。武家屋敷の黒板塀が連なる内町の「武家屋敷通り」には桜の木が多く見られます。私たちが訪問した時には、開花が遅れてまだ満開の時季には達していませんでしたが、屋敷内のシダレザクラが咲き始めて、風情のある光景が見られました。



「松本家」武家屋敷

 武家屋敷には石黒家、青柳家など、武家の格式によっていろいろな建築様式や生活様式の木造家屋が建ち並び、建物の内部を見学することができます。この絵は「松本家」という柴垣に囲まれた下級武士の屋敷で、母屋は県有形文化財に指定されている建物です。



醸造元「安藤家」の座敷蔵

 角館町は中央部に役場のある「火除け」と呼ばれる広場を挟んで武家町(内町)と商人町(外町)があり、醤油と味噌の醸造元である「安藤家」は商人町にある嘉永6年(1853年)創業の老舗で、明治の中頃に火災に備えて建てられた、煉瓦造りの蔵座敷が一般公開されています。この絵はその座敷のある蔵を外部から描いたものです。



「マイ・スケッチブック」へ戻る。

「表紙」へ戻る