聖歌集のMIDIの曲("How Great Thou Art!")を使用させて頂きました。


信州の風景(2)

 2011年にイスラエルへの聖地旅行に参加しましたが、その時お会いした2組のご夫婦と毎年 日本国内の旅行を続けております。今年2016年の4月に、信州の山里へ桜を見に自家用車を利用して2泊3日の旅行をしました。訪問先は、1日目は上田市の塩田平へ、2日目は信州で一番美しい村と称する高山村へ行き、山田温泉の旅館に2泊して桜の花巡りをし、また3日目は隣接する栗の里 小布施町に行き、街歩きをしたり北斎館で浮世絵を鑑賞したりして、更に飯綱町の「サンクゼール・ワイナリー」を昨年に続いて再訪し、上信越道経由で帰宅しました。
 体調不良や諸事多忙のため、旅行の後その風物を描く時間がなかなか得られませんでしたが、ようやく何枚か描き上げましたので、ここに「信州の風景(2)」として、まとめて掲載しました。


上田市の郊外

 今回の上田市の訪問先は、市の南西部の寺院が多い「信州の鎌倉」と呼ばれる塩田平で、ここにある戦没画学生の慰霊美術館「無言館」の本館と第2展示館を見た後、近くの別所温泉で昼食をし、この地の常楽寺と安楽寺を訪問して、須坂市に隣接する宿泊地の高山村へ向かいました。


上田市の戦没画学生慰霊美術館「無言館」

 長野県上田市から別所温泉までは上田電鉄別所線が走っていますが、その途中駅「塩田町」の南方向にある塩田平にある慰霊美術館が「無言館」で、1997年に開館した美術館です。第二次世界大戦中に、その志半ばで戦場で戦没した画学生たちが残した絵画や彫刻などの遺作を、館主の窪島誠一郎氏らが全国の戦没画学生の遺族を訪問して、その遺作や遺品を収集し展示しています。本館と2008年に開館した第二展示館「傷ついた画布のドーム」の2棟があり、訪れる人に無言で戦争の悲惨さと無念さを語り掛けてきます。


「無言館」第2展示館

 塩田平にある戦没画学生の慰霊美術館「無言館」の敷地内には、平成20年に建造された第二の展示館「傷ついた画布のドーム」があります。中は薄暗くて墓地に入ったようなイメージですが、天井にも多くの絵が貼られ、個人毎にまとめて展示されたデッサンや手紙、遺品などの展示品は、技術的には未熟でも、生前に描かれた絵に込められた、戦争によってその道を断たれた画学生たちの平和を求める想いが伝わってきます。また、多くの美術書を集めた「オリーヴの読書館」が併設されています。


 

別所温泉の「安楽寺」庫裏

 上田市の南西部に広がる塩田平にある別所温泉は、上田電鉄の終着駅がある温泉郷で、鎌倉時代から室町時代にかけて造営された神社仏閣など多くの文化財が残っています。幕府の信濃守護職の北条氏が塩田に居を構え、「信州の鎌倉」と呼ばれて鎌倉仏教文化の花を咲かせた場所です。曹洞宗の「安楽寺」は、信州学海の中心道場だった信州最古の禅寺で、本堂裏の山腹に国宝の「八角三重塔」(描画中)があることで有名です。ここに描いた「庫裏(くり)」は本堂の右側に建つ住職の住居です。



高山村と小布施町

 2016年春の旅行の2日目は、信州高山温泉郷のある山田温泉の「風景館」に2泊して高山村制施行60周年記念の桜まつりに参加し、同行者の友人である村議の梨本修造氏の案内で「桜めぐりのトレッキング」と、俳人一茶にゆかりのある「一茶の里」など村内の施設を見学しました。また3日目は隣接する栗の里 小布施町に行き、浮世絵師 北斎および弟子たちの描いた肉筆画や祭り屋台を展示する「北斎館」を見学した後、栗菓子の店「竹風堂」で食事をしました。


高山温泉郷山田温泉「風景館」

 信州高山温泉郷は8か所の秘湯が松川沿いの渓流に沿って存在していますが、私達が宿泊した「風景館」は寛政6年(1769年)創業の240年の伝統ある老舗旅館で、無色透明の塩化物泉を湧出する山田温泉にあります。松川渓谷の林の中にある露天風呂をはじめ、松川渓谷の深羅峡散策路「森の散策路」などがあり、山桜が満開の時期を迎えて自然の中でゆっくり温泉気分を楽しむことができました。この絵は旅館玄関の入口付近を描いた絵です。


高山村の「山田温泉大湯」

 「風景館」に隣接して、開湯200年を超える「山田温泉大湯」の温泉場があります。その建物は一見 寺院と見惑うような桃山風の建築で、森鴎外や与謝野晶子らの文人たちに親しまれた名湯の館です。内部は脱衣室と熱い湯・ぬるい湯の二つの浴槽がありました。


高山村松川渓谷の「牛の牢」

 松川渓谷は千曲川の支流で、上信越高原国立公園の万座峠から小布施町まで流下しており、川に沿って温泉群といくつかの滝が存在する自然豊かな渓谷です。川の両側は散策路となっていますが、風景館から露天風呂に行く途中道が分岐して、渓流沿いを歩くと「牛の牢」と呼ばれる場所で、岩の間を滝となって急流が落ち込んでいる淵を桟道から眺めることができます。「牛の牢」と呼ばれる伝説が そのそばに掲示板で紹介されていました。


山田牧場

 高山村から笠が岳(2076m)の山麓を経て志賀草津高原ルートへ向かう道の途中、標高1,500mの地点に奥山田温泉があり、この付近は冬はスノーパークとしてスキー場、夏は牛や馬の放牧地の山田牧場となっており、笠が岳付近からは北アルプスや北信五岳など、スケールの大きい展望が楽しめる高地です。


「一茶館」の離れ家

 俳人 小林一茶は47歳から65歳で亡くなるまで、俳人 久保田春耕から提供された家を利用して頻繁に高山村に逗留し、弟子たちに俳諧を指導したそうです。一茶ゆかりの里「一茶館」には一茶の真筆が多数収蔵されていますが、一茶が逗留した家と言われる江戸時代の寛政期に建てられた茅葺屋根の離れ家が、当時のまま移築復元されて、村指定の文化財として敷地内に建っています。悲惨な晩年を送った一茶にとって、この村は心の安住の地でもあったようです。「心打つ 一茶の里で 花巡り」。一茶館を訪問した際に私の作った句です。


高山村福井原の満開の桜

 高山村は桜の名所で、約20本のしだれ桜があり、その半数は樹齢200年を超す老木です。見頃は4月下旬と言われていますが、今年は例年より早く咲き、私達が行った27日は約2週間遅く、そのほとんどの木の開花が終わっていました。しかし万座温泉へ向かう112号線から林道 湯沢線に入った福井原には、満開のしだれ桜と彼岸桜が残っており、素晴らしい花見を楽しむことができました。ここには、開拓の碑が建っており、堆肥の処理場もあって、広々とした畑が広がる新しく開拓された土地でした。


高山村にある黒部のエドヒガン桜

 桜の里を車で巡って、村内にある約20本の樹齢200年~600年のしだれ桜の銘木を見て回りましたが、残念ながら満開から2週間ほど経っており、大部分の樹は花が散ったあとでした。黒部のエドヒガン桜は水田地帯の中に立つ2本の孤立樹で、まだ花が多く残っており、大勢のカメラマンが写真を撮っていました。樹齢は推定500年余と言われています。


小布施町の「竹風堂」菓子店

 高山村と隣接する小布施町は、栗と北斎と花の街として有名です。私達は「栗の小道」など小布施の街並みを歩き、浮世絵師 葛飾北斎の肉筆画や祭屋台を展示した「北斎館」を見学し、栗菓子の店「竹風堂」で 栗おこわの食事と買い物をしました。小布施町は、その街並みに歴史を感じさせる木組みや土壁の民家が並んでおり、多くの古刹が残され、美術館も多く、花による装いの美しいまちづくりを目指している観光地です。


斑尾(まだらお)高原

 2015年6月初め、長野県と新潟県の県境に近い、長野県飯綱町の斑尾高原にあるワイナリーの「サンクゼール」農園へ行きました。あいにく午前中は雨天でしたが到着時以後は雨も止み、涼しい高原のぶどう畑で一日を過ごしました。また、今年2016年4月にも、小布施町を観光した後、「サンクゼール」農園を再度訪問しました。このときはリンゴ畑に花が咲き乱れ、若葉の新緑も一層鮮やかでした。

「サンクゼール」本社

 斑尾高原には、経営者の久世良三さん夫妻が創設した果樹農園があり、「サンクゼール(St.Cousair)」 はその名前"くぜ"をもじった商標です。ここには広いぶどう畑とワイナリーやジャム工場があり、本社には広い広場に面したレストランと、各種のワイン類、ジャム、ドレッシングソースなどを販売する売店があり、大勢のツアー客が訪れていました。

「サンクゼール」の礼拝堂

 “田舎の豊かな生活”を届けたいという想いから作られたという「サンクゼール」ですが、ぶどう畑の丘の上には結婚式や礼拝が出来るチャペルと展望の良い高級レストランがあり、周囲の山並みや田園風景を満喫することができます。



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