「童謡・唱歌の世界」のMIDIの曲をBGMに使用させて戴きました。


アメリカ国立公園の旅(その2)

 アメリカには多くの国立公園があり、大自然の景観を眺めることが出来、また地球の歴史やその景観が形成される過程を、自分の目で確認することが出来ます。
 今年(2012年)の 5月6日から17日まで、先ずアリゾナ州の「グランドキャニオン国立公園」へ行き、その後、「インディアン・カントリー」と呼ばれている地域にある、コロラド河の侵食によって長い年月の間に形成されたコロラド州の「コロラド州立モニュメント」と、ユタ州にある「アーチーズ国立公園」や「キャニオンランズ国立公園」など、壮大な大平原の侵食地形、および残丘(ビュート)や奇岩のモニュメントがそびえ立つ奇観など、アメリカ在住の友人夫妻の運転するレンタカーで巡り歩き,アメリカならでは見られない素晴らしい風景を見てきました。

■グランドキャニオン国立公園(Grand Canyon National Park)


 「グランドキャニオン国立公園」は、ロッキー山脈を源とするコロラド河が、600万年とも言われる長い年月を掛けて赤茶色の大地を東西 446kmにわたって削り、1,500〜1,800m もの深さがある大峡谷を形成したものです。国立公園の総面積は4,927平方km の広さを有し、18億年間を掛けて形成された地層の露出した風景が目の前に見られます。


 デンバーからグランドキャニオンへはバスや列車、軽飛行機などを利用して行けますが、私たちは早朝出発のセスナ機を利用した半日ツアーを利用して、グランドキャニオンの代表的な展望台である「サウス・リム(South Rim)」へ行きました。飛行機は、コロラド河をせき止めて造られたミード湖(Lake Mead)や、コロラド河の下流にあるグランドキャニオン・ウエストの峡谷の上を飛びましたが、朝日に輝く金色に光る赤い大地や岸壁を、侵食した渓谷が深い割れ目となって次々と現れる、素晴らしい光景を機上から眺めることが出来ました。


 グランドキャニオンの東端に「サウス・リム」と呼ばれるビレッジがあり、ここは海抜2,100m の断崖の上にあります。この周辺には幾つかの展望台があり、コロラド河の本流や支流に沿って赤い大地を削って形成された大峡谷を見下ろすことが出来ます。この絵は「マザーポイント」と呼ばれるビジター・センターの傍の展望台から見た風景です。展望台は縞模様の地層の上にあり、北側の断崖と残丘が重なり合って、霞んで見えました。断崖に沿ってトレールがあり、沢山のヴューポイントがあって、それぞれ違った角度から渓谷の景色を眺めることが出来ます。


■インディアン・カントリー


 今年 5月6日から17日まで、アメリカ中西部の「インディアン・カントリー」と呼ばれるコロラド河の流域を旅してきました。7日にはラスベガスから「グランド・キャニオン国立公園」を観光し、その後デンバーへ移動して8日間、アメリカ在住の友人夫妻と共に、コロラド州とユタ州にある いくつかの国立公園や州立公園を、友人の奥さんが運転するレンタカーに便乗して巡り歩いてきました。これらの地域は、デンバー近くのロッキー山脈に源を発し、グランド・キャニオン国立公園内を流れてメキシコ湾に入るコロラド河(通称「赤い河」)の上流域に位置しています。


 今回の旅行で巡り歩いたコロラド州、ユタ州の国立公園などの地図


デンバー市内(Denver)

 デンバー(Denver)は、市内に大きなハブ空港があり、また四方から多くのハイウエイが集まるコロラド州の大都市で、多くのホテルやいろいろな施設が市内に点在しています。デンバーの西側には北米大陸を南北に貫く長大なロッキー山脈があり、残雪を頂く山々が市内からも展望できました。


 デンバーの市内にある自然科学博物館(Denver Natural & Science Museum)へ行きました。館内にはこの近辺の地層から発掘された恐竜や魚竜、翼竜など、多く種類の古生代の動物の化石が組み立てられて展示されていました。また、世界の自然環境で棲息している動物のジオラマが展示されていましたが、棲息環境も分かるように動物類の剥製の周囲は樹木や草なども人工的に作られた工芸品で飾られ、またその背景も実際の風景のごとく描かれていて、総合的な舞台芸術のような素晴らしい動物生態の展示が見られました。


 自然科学博物館では、ロシア生まれの彫刻家コノバレンコ(Konovalenko)が制作した、色や模様の入った天然貴石を材料としたユーモラスな人物の作品が多数 展示されていました。説明文には人物のそれぞれの部分に使用された、トルコ石とか、ジャスパーとか、メノウなど材料の名が書かれていました。


 デンバーには美術館(Denver Art MUseum)もあり、世界的な有名な画家の作品や地元アメリカの作家の絵画や工芸品などの作品が数多く展示されていました。特にアメリカ先住民族の芸術作品が特徴的で、日本や東洋からの展示物も多くあり、一応全部見て回るのに半日ほど費やしました。


コロラド国立モニュメント(天然記念物)(Colorado National Monument)

 デンバーからハイウエイ70号線をコロラド河に沿って東へ向かってユタ州境に近い Grand Junction まで進むと、河の向こうに山の上部が平らな、渓谷や残丘が見えてきます。ここが国立コロラド・モニュメントで、ミニ・グランドキャニオンとでも言うような こぢんまりしたキャニオン渓谷の中に、縞模様の岩のモニュメントや灌木の生えたバレーが見られます。これらの衝立状の岩のドームや合掌をする指の形のような奇岩群は、風や水、氷などの力によって自然に形成されたもので、その奇抜な形は あたかも箱庭の中の工芸彫刻品の展示を見ているような感じを与えてくれます。


 ビジターセンターの近くにある「グランドビュー」(Grand View)展望台 から眺めたモニュメントキャニオンの風景で、目の前には Pipe Organ, Kissing Couple, Sentinel Spire などと名付けられた巨大な岩のモニュメントが立ち並んでいます。公園内を走る自動車道路の所々に駐車場付きのビュー・ポイントがあり、また崖の間際に設けられた展望台までトレッキング・ルートが付けられている所もありました。


モアブ(Moab)の町 と デッドホース・ポイント州立公園(Dead Horse Point State Park)

 ハイウエイ70号線をさらに東に走ってコロラド州からユタ州に入ると、コロラド河の下流に向かって多くの国立公園があります。国道の Crescent Jct. から国道191号線を南下すると「モアブ」(Moab)の街があり、ここで3泊しました。町に入る左側には「アーチーズ国立公園」があり、また右側には「キャニオンランズ国立公園」があって、そこへ行く拠点として今回利用しました。


 モアブは静かな田舎の町で、街の中をコロラド河が流れており、両側は切り立った赤い岩壁が連なっていて、インデアンの民芸品や、古代の地層から採れる各種の化石・貴石などを売る店が多く見られます。またこの町は各種の山岳スポーツ(トレッキング、川下り、オフロード・ドライブなど)の拠点となっており、各種のスポーツ用品を売る店も多くあります。町の周囲を取り囲む岸壁は、朝晩の太陽の移動によって岩襞の影の色や形が刻々と変化して、見飽きることがありません。


 モアブから「キャニオンランズ国立公園」へ行く途中、その手前の分岐道を進むと、コロラド河の流れが180°反転し、湾曲して流れる景観が展望できる地点に達します。ここは「デッドホース・ポイント(Dead Horse Point)」と言われる場所で、この地域は「デッドホース・ポイント州立公園」となっています。放牧馬が、喉の渇きに耐えられなくて、崖から転落して死んだといういわれがあるそうです。


アーチーズ国立公園(Arches National Park)

 コロラド州の東に隣接するユタ州は、芸術作品とも見えるような巨大な岩のタワー群が点在する平原や深い大峡谷が多く存在する地域ですが、国立公園も数多くあり、「グランド・サークル」ツアーと称して日本からも国立公園巡りのツアー観光者が多く来ています。ハイウエイ70号線から国道191号線への分岐点に近い「アーチーズ国立公園」もその一つで、公園内には2,000か所も穴のあいたアーチ状やナチュラル・ブリッジ状の岩石が点在しているそうです。


 モアブの町へ向かう国道191号線の左手に、万里の長城のように連なる赤い岸壁の下に、この国立公園の入口があります。岸壁に沿って坂道を上ると、摩天楼のように巨大な衝立状のモニュメント(「フィン」と呼ばれています)が並んでいる「パークアベニュー(Park Avenue)」というトレイルの出発地点があり、そこから見た岸壁が連なる風景を描きました。


 パークアヴェニューの終点付近は「コートハウス・タワー(Courthause Tower)」展望地点で、側に高い衝立状の"The Organ"と呼ばれるフィンが立っています。またその先にも"Tower of Babel"と呼ばれるフィンがあり、また"Three Gossips"と呼ばれる話し合う3人の人物像のような奇岩が立ち並んでいます。


 公園のビューポイントの一つで、今にも大きな岩の塊が、支えている岩の上から今にも落ちそうな「バランス・ロック(Balanced Rock)」と名付けられています。


 ウインドウズ・セクションには「ノース・ウインドウ」と「サウス・ウインドウ」の二つの大きなアーチがあり、遠くから見ると岩の鼻に眼鏡を掛けたように見えます。また駐車場の反対側には、この絵のように2本のアーチが重なって架かる珍しい「ダブルアーチ(Double Arch)」が見られます。岩の上に立っている人と比べると、その巨大さがよく分かります。


 アーチーズ国立公園のシンボルとも言えるアーチが、穴の高さが13.7mある「デリケートアーチ(Dlicate Arch)」です。駐車場から2.4 km も岩の上のトレイルを歩かなくてはならないので、私たちは谷を隔てたビューポイントから眺めました。奇岩の行列の左端に、赤茶色の砂岩でできた端正な「デリケートアーチ」の姿が見られました。


 望遠カメラで見たデリケートアーチです。アーチが出来る原因は、酸性雨が炭酸カルシウムと反応して岩を崩すという説と、岩の層に入った水が凍ったり溶けたりしたために、岩の柔らかい層が落下して穴が明いたという説などがあります。


キャニオンランズ国立公園(Canyonlands National Park)

 キャニオンランズ国立公園は国道191号線のモアブの町の手前から入る北側の「アイランド・イン・ザ・スカイ(Island in the Sky)」地域と、モアブのさらに先から211号線で入った南側の「ニードルス(Needles)」地域とがあります。ここへはそれぞれ1日ずつに分けて訪問しました。


 キャニオンランズ国立公園の北側の「アイランド・イン・ザ・スカイ」地域は、東側のコロラド河(Colorado River)と西側のグリーン河(Green River)に挟まれた地域で、下流のニードルズ地区でこの二つの河が合流しています。「シェーファー・キャニオン展望台(Shafer Canyon Overlook)」は公園入口のビジターセンターのすぐ傍にあり、公園の東側(デッドホース・ポイント方面)を眺める展望台です。遠くに霞む雪を頂く山は、コロラド州に近い「ラサール山群(La Sal Mtns.)」(最高点 Mt. Peale: 3877m)の山々です。


 キャニオンランズ国立公園の北側の「アイランド・イン・ザ・スカイ」地域は、東側のコロラド河(Colorado River)と西側のグリーン河(Green River)に挟まれた地域で、下流のニードルズ地区でこの二つの河が合流しています。この絵は南側のニードルス地区へ向かう国道211号線沿いに、赤茶色の巨岩の岩壁(残丘;ビュートと呼ばれる)が立ち並ぶ広大な>コロラド平原で見られる残丘の風景を描いたものです。


 「アイランド・イン・ザ・スカイ」地域の中程で道が左右に分かれますが、その近くにある「グリーン河展望台(Green River Overlook)」から南西方向に見える、大地が陥没したように見える、深い谷を削ったグリーン河の流域を眺めた絵です。この公園内はオフロード・ドライブが盛んで、展望台から遙か下の方に、河に沿った道のない平原を走る4輪駆動車の姿が見られます。


 この地区の最南端は"Grand View Point Overlook"ですが、展望風景の左側にはコロラド河が、右側にはグリーン河が見え、この展望台の15 km 先で合流して、さらに下流へと深く大地を削りながらグランドキャニオン方面に流下しています。「オレンジクリフス展望台(Orange Cliffs Overlook)」から眺めると、目の前にはグリーン河の支流の水によって平原が削られ、何段にも地層が重なり合ってできた渓谷が展望できます。


 「ニードルス」地域へは、モアブの街を南下し211号線に入ります。公園に入る前から、屏風のような岩壁と銅像のような幾つかのタワーが現れます。公園の奥には奇岩が立ち並ぶ場所が多くあり、また多くのキャンプ場があります。それらに近づくためにはオフロードを車で行くか、トレールを歩かなければ行けません。「エレファント・ヒル(Elephant Hill)」は山道を普通車で行ける谷底の終点で、そこから遠くにデビルス・キッチャー(Devils Kitcher)の奇岩が1列に並ぶ姿が眺められました。


 「ニードルス」地域の最奥にある「ビッグ・スプリング・キャニオン(Big Spring Canyon)」の駐車場脇にある縞模様の砂岩の岩山です。ここからは幾つものトレールが公園内に向かってあり、白い塩のドームや緑色の砂の山が見られます。この絵のような層状の赤い岩山の風景がそこら中で見られます。


 「ニードルス」地域から211号線を戻る途中、道端のすぐ傍にある「ニュースペーパー・ロック(Newspaper Rock)」に描かれた先住民の壁画の遺跡(ユタ州史跡記念物;State Historic Monument)を見てきました。一枚岩の壁面を削って描かれた岩絵(ペトログリフ)で、約2,000年前から描かれてきたと言われています。この絵は、実際の岩絵画像とコラボレートさせたものです。


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